大賀ハスの増殖・・・

夏の花の大宗、大賀ハスを観て 



7月10日。清々しい朝のうちに投票を済ませて上田市国分寺にある大賀ハス園に出かけました。やはりいつもより早い開花にたくさんの人が見入っていたから、順序良く散策路巡りです。桃赤色は夏の陽ざしに一層透き通って深みを増すみたいで毎回感動的です。

きょうは、ここからさらに木島平にある蓮の名刹・稲泉寺(とうせんじ)まで足を運びました。ここは初めてでしたが上田の3〜4倍ほど広い蓮園です。管理も生育も良くてほぼ満開の大賀ハスに気持ちも浮いて、暑さを忘れるほどでした。
大賀ハスは私が生まれた年(古いですねえ)に千葉市花見川区の縄文土中から3粒を大賀博士が発掘したのが始まりでした。わずか3粒の古代の種が今は日本各地のほかに中国やドイツでもたくさん開花していることを思うと、植物の繁殖の見えざる作用の不思議さを感じてしまいます。それは、彼岸花の繁殖にも似て、中国から僧侶が数株を日本に持ち込んだとされるのに、当の彼岸花自体は花は咲くけれど3倍体なので種子が無く、それでも日本全国に拡散したことと良く似ている気がします。だからその繁殖は私達が生活の中で係わってきた〈歴史的な花〉でもある、ということかもしれません。

越前大野城は天空の城でした

歴史遺産の旅、天空の城「越前大野城」を訪ねる




海の日の連休初日に、日本三大「天空の城」のひとつ越前大野城(福井県大野市)を訪ねました。周囲を山で囲まれた盆地の中にポツンと在る小高い山の上に建つ城に登ってみると、まさに所領を一望する亀山の頂、天空にありました。
しかし、430年ほど前に築造された当時は町らしい姿も無かったことから町づくりも一緒に進められたと云い、それが今も街中に残っていてとても風情がありました。「七間朝市」は400年経った今も開かれて人気なのだと言います(午後に到着したので見られませんでした)。歴代の藩主による町づくりと文化の育成、それに熱心な藩校での教育の様子・・・福井県の風土を感じさせる大野城でした。帰りは福井市から北陸道を通って帰宅、長〜い一日でした。

※ルートは上田→三才山トンネル→松本→安房峠→飛騨高山→(東海北陸道白鳥IC)→油坂トンネル→大野市でした。

山寺にアジサイ咲いて

※しばらくあいだを空けてしまい恐縮です。この間にメモった記録をまとめてアップしようと思います。引き続きよろしくお願いいたします。(下谷


アジサイの咲く菩提寺・常林寺





天明浅間山大噴火で流出した常林寺は災害も落ち着いたのち、以前の場所から小宿川対岸に再建しています。再建時から山門がありませんが、門柱石が最近、新しくなりました。武田と真田氏に仕えた鎌原氏によって寺は建立されたて以来、六文銭が寺紋です。碑の文字は曹洞宗トップの総持寺官長による揮毫です。
境内は今(7月中旬)、アジサイが見ごろを迎えていて、私のお気に入りのシーズン。それもみな山紫陽花です。寒いから山紫陽花しか育たないので仕方ありませんが、そこが山寺の風情となっていていいですね。

アジサイと寺は深い関係!?
ところで、どうして何処の寺にもアジサイが多いのでしょうか。常林寺のアジサイをよく見ると寺と縁のあるアジサイの一種が咲いていました。釈迦の生誕を祝ってどこでも「花祭り」がありますよね、その花祭りの時に、生まれた釈迦の像に甘茶をかけるんですが、その「甘茶の木」と言われる紫陽花が境内の片隅に咲いています。釈迦が生まれた時、甘茶の雨が降ったと言われるから寺にアジサイはセットということなんですね。(お寺で教わりました)

アジサイは「集真藍」が「紫陽花」になった?
ところで、アジサイは「紫陽花」と書かれてイメージぴったりですよね。でも、植物を解説する人がよくホントは「集真藍(あずさあい)」と言う字が本当で、今の感じ紫陽花は平安時代に日本で当てた字なのだと解説されることもあります。集真藍とは中国、唐の詩人白楽天が名付けたと言われるのですが、日本に伝わった時に学者が「紫陽花」と訳した歴史が残っているから・・・間違って付けられた、あるいは発音が訛って紫陽花と当てられたと。
でも・・・どうなんでしょうか?
集真藍・・・真の青(藍)を集めた花、という字面に訳者は躊躇したのではないのかと思えるのです。色に繊細な我国の風土にはすでに藍染が普及していましたし、その藍色には数種類の色の名前が付けられていました。さらに青は蒼や藍の漢字表現が多種でしたから、集真藍こそがアオだという表記に戸惑い、訳者は「紫陽花」という日本的な文字をあえて考えて当てはめた、と私は思うのです。

アカシアのホントの名前?
ついでで恐縮ですが、解説でよく「アカシアは今の木はニセアカシアで本当はハリエンジュと言う」などと案内されるのですが、これもどうなんでしょう?
ハリエンジュとは漢字で「針槐」と表記されるようですが、槐という木は「延寿」とも言われて日本では縁起の樹木ですし魔除けにもなりました。神仏とも深い係わりの樹ですから、いわゆるアカシアという外来の樹木、それも繁殖力が強いわりには使い道のない樹木(失礼!)に槐と言う文字が使われることに抵抗があったのではないでしょうか。
アジサイもアカシアも、間違って使われたのではなく、あえてそう使ったのではないのか、と思うこの頃です。

※紫陽花の写真3枚目が「甘茶の木」といわれるアジサイです。
 写真下は現在の常林寺です。


 

浅間山、その後の活動はどうなっているか。

最近の浅間山の活動について

熊本の一連の震災に関心が集まっていますが、梅雨時の異常降雨による災害の不安もまた懸念される季節ですね。私が住んでいるところは常に浅間山の活動も気になるエリアですから、このブログでも折に触れて様子を取り上げてきました。観光も農業も最盛期になりますから「安全な浅間山」で在って欲しいところですが、火口から2kmの範囲内は噴火の影響もあり得る状態、と最近も発表されていますから、観光や農業に影響は及ばない範囲なので噴火があっても落ち着いて対応できる範囲というとこでしょうか。以下NHK NEWS WEBが伝える噴火予知連の浅間山情報を転載します。

浅間山で今月5か月ぶりに火映現象 噴石に警戒を (6月14日 21時34分NHK WEB)より

長野と群馬の県境にある浅間山では今月に入って、夜間に高温の火山ガスなどが雲などに映って赤く見える「火映現象」が5か月ぶりに確認されたほか、引き続き火山性地震の多い状態が続いていて、火山噴火予知連絡会は、引き続き火口から2キロの範囲では大きな噴石に警戒が必要だとしています。
専門家などで作る火山噴火予知連絡会では、14日の定例の会合で浅間山の火山活動について検討しました。それによりますと、浅間山では去年6月にごく小規模な噴火が相次いで以降、噴火は観測されていませんが、火山性地震がやや多い状態が続き、ことし1月からは火山性微動もやや増えています。
また、今月6日以降は、夜間に高温の火山ガスなどが噴煙や雲に映って赤く見える、弱い火映現象が5か月ぶりに観測されたということです。火山ガスの二酸化硫黄の1日当たりの放出量も、ことし2月以降は300トン以下でしたが、今月10日の観測では400トンとなったということです。
火山噴火予知連絡会は、浅間山では引き続き、山頂の火口からおおむね2キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石に警戒が必要だとする検討結果をまとめました。
火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は記者会見で「地震活動が低いレベルながら続いているので、噴火が遠のいたと判断するのは難しい」と話しています。
気象庁浅間山に引き続き噴火警戒レベル2の火口周辺警報を継続し、山頂の火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

※写真は今年の春のものです。上の写真は昨秋の浅間山です。

旧暦の4月卯月、卯の花咲いて

  初夏を告げるウツギ咲く




入梅となりましたが、標高の高いここでは6月に入って散歩道にバイカウツギ(梅花空木)が咲き出しました。仲間のガクウツギ、ハコネウツギなど初夏を告げる花がまた巡って来ました。
 
ウツギは万葉の花と言われるほど日本に馴染みの花ですから、唱歌『夏は来ぬ』の冒頭に登場する夏告げ花「卯の花」のイメージがぴったりですし、一緒に出てくる時鳥(ホトトギス)そしてカッコウが一緒に野山に鳴きわる季節となって、緑の深まりとともに初夏の万象です。

それにしても・・・ウツギの花木仲間で、どうしてこんなに違うのかと思ったら、空木と言う文字、樹幹の中が空洞だから「空木」と呼称していたんですね。調べてみるとバイカウツギユキノシタ科に所属して、ガクウツギはアジサイの仲間、ハコネウツギスイカズラ科とそれぞれ所属していました。それから唱歌には卯の花は匂うと謳われているので確かめてみると匂いませんでした。これも調べてみると、やはり匂わないのだそうです。ウツギの花言葉は「信頼」、あやうく信じるところでした。(笑)



写真:上2枚はウツギの代表バイカウツギです。
3枚目は3色ほどの色を付けるハコネウツギ
4枚目と下の写真はガクウツギで花のまわりに衛星のように飾り花を持っています。

アオダモ・ハクウンボク・ヤマボウシの世界

人々の生活に身近だったアオダモハクウンボクヤマボウシ

先月中旬から2週ほど間が開いてブログもご無沙汰してしまいましたが、わずかの間に野山の営みは著しく移り変わりました。印象に残った花のある樹木3本を取り上げてみます。


①暮らしに寄りそったアオダモ
ちょうど2週ほど前に満開だったアオダモの木、今年はその白い花の付きも良く、林を明るくしてくれた。すでに花も終了し葉の色も深みを増しているが、この木はなんと言っても、昨年試した時の印象が強い。水に浸すと透き通った発光ブルーの色になるからだ。この溶液は殺菌剤の代用として使われた時があったが、今は庭木としても人気があり、野球のバット材としても栽培も増えている。嬬恋は適地のようだ。アオダモは青梻と記されるように、青い佛の木。日本人の想いが伝わる木だ。


②天にたなびくハクウンボク
都会の街路樹でも人気の高いハクウンボク。野山に自生するハクウンボクの花が5月末に開花した。緑深まるこの季節、散歩中にこの花の気品ある香りが漂って、足が止まります。見上げると夏の真っ白い雲のように頭上に下垂しているけれど、花の白さに夏雲のイメージがあり、品格がある気がして大のお気に入りです。漢字で白雲木と現されこのネーミングの妙、喝采ものですね。ストレスを鎮める安息香みたいですが、もう初夏の花が咲き始めました。

ヤマボウシの世界
白雲木とほぼ同じころ開花するヤマボウシも近くに自生しているが、こちらは葉の上に花が立ち上がり白い十字架の花が咲く。といっても4枚の白い花びらは総苞といって花弁ではなく葉に近いのだと言われる。漢字で山法師と現されるが、頭巾をかぶった法師に見立てたことに由来しているというから十字架という表現は似合わないかもしれない。由来を紐解いていくと・・・延暦寺の僧が頭巾をかぶって武装した姿に因んでいるとも。な〜るほど歴史に関わる名前か。 ところでこの木の仲間に花ミズキという人気の街路樹があるが、こちらは別名アメリカ・ヤマボウシと呼ばれる。日本がソメイヨシノを送った見返りに1915年、日本に送られて普及した木なのだそうだが、面白いのはその実。古くからあるヤマボウシは粒も大きい赤い実を付けるのに対し花ミズキは小豆のような赤い実を付ける。植物学者の見解に、日本は猿が捕食してくれるのを期待して進化した、そして外来の花ミズキは鳥の捕食に沿って変わったのではないか、と説がたてられている。山法師という木は材質が硬いので古くから木槌や杵、水車の歯車として利用された身近な樹木。花言葉が「友情」とあるのはアメリカ・ヤマボウシの縁からかもしれない。 一本の木から、知らない世界をヤマボウシが教えてくれる。


鬼押出し溶岩、「群馬県の石」に認定されました。

鬼押出し溶岩が群馬県を代表する岩石に!

10日、日本地質学会は群馬県を代表する岩石として嬬恋村の「鬼押出し溶岩」(安山岩)を認定した、と新聞各紙が伝えました。
日本地質学会は2018年に創立125年となることから、「大地の性質や成立ちに関心をもってもらう」ために、2年ほど前から各県に呼びかけ、選考委委員会を設けて検討して各県の岩石、鉱物、化石各1点ずつを選定しています。(群馬の鉱物は下仁田の鶏冠石で、化石は富岡のヤベオオツノジカです)
鬼押出し溶岩は優れた景観も評価されたと言いますから、浅間山ジオパークにする活動をしている嬬恋・長野原にとって力強い支援になりました。
なお、溶岩では富士山の青木ヶ原(山梨)の「玄武岩溶岩」も認定されました。
日本を代表する富士山と浅間山の溶岩、その違いを学ぶことは日本列島の成立ちを知ることになりますから、ジオパーク活動にもおおいに拍車がかかりますね。
現在、嬬恋・長野原一緒に「浅間山北麓ジオパーク」の認定を申請中です。