アオダモ・ハクウンボク・ヤマボウシの世界

人々の生活に身近だったアオダモハクウンボクヤマボウシ

先月中旬から2週ほど間が開いてブログもご無沙汰してしまいましたが、わずかの間に野山の営みは著しく移り変わりました。印象に残った花のある樹木3本を取り上げてみます。


①暮らしに寄りそったアオダモ
ちょうど2週ほど前に満開だったアオダモの木、今年はその白い花の付きも良く、林を明るくしてくれた。すでに花も終了し葉の色も深みを増しているが、この木はなんと言っても、昨年試した時の印象が強い。水に浸すと透き通った発光ブルーの色になるからだ。この溶液は殺菌剤の代用として使われた時があったが、今は庭木としても人気があり、野球のバット材としても栽培も増えている。嬬恋は適地のようだ。アオダモは青梻と記されるように、青い佛の木。日本人の想いが伝わる木だ。


②天にたなびくハクウンボク
都会の街路樹でも人気の高いハクウンボク。野山に自生するハクウンボクの花が5月末に開花した。緑深まるこの季節、散歩中にこの花の気品ある香りが漂って、足が止まります。見上げると夏の真っ白い雲のように頭上に下垂しているけれど、花の白さに夏雲のイメージがあり、品格がある気がして大のお気に入りです。漢字で白雲木と現されこのネーミングの妙、喝采ものですね。ストレスを鎮める安息香みたいですが、もう初夏の花が咲き始めました。

ヤマボウシの世界
白雲木とほぼ同じころ開花するヤマボウシも近くに自生しているが、こちらは葉の上に花が立ち上がり白い十字架の花が咲く。といっても4枚の白い花びらは総苞といって花弁ではなく葉に近いのだと言われる。漢字で山法師と現されるが、頭巾をかぶった法師に見立てたことに由来しているというから十字架という表現は似合わないかもしれない。由来を紐解いていくと・・・延暦寺の僧が頭巾をかぶって武装した姿に因んでいるとも。な〜るほど歴史に関わる名前か。 ところでこの木の仲間に花ミズキという人気の街路樹があるが、こちらは別名アメリカ・ヤマボウシと呼ばれる。日本がソメイヨシノを送った見返りに1915年、日本に送られて普及した木なのだそうだが、面白いのはその実。古くからあるヤマボウシは粒も大きい赤い実を付けるのに対し花ミズキは小豆のような赤い実を付ける。植物学者の見解に、日本は猿が捕食してくれるのを期待して進化した、そして外来の花ミズキは鳥の捕食に沿って変わったのではないか、と説がたてられている。山法師という木は材質が硬いので古くから木槌や杵、水車の歯車として利用された身近な樹木。花言葉が「友情」とあるのはアメリカ・ヤマボウシの縁からかもしれない。 一本の木から、知らない世界をヤマボウシが教えてくれる。