山寺にアジサイ咲いて

※しばらくあいだを空けてしまい恐縮です。この間にメモった記録をまとめてアップしようと思います。引き続きよろしくお願いいたします。(下谷


アジサイの咲く菩提寺・常林寺





天明浅間山大噴火で流出した常林寺は災害も落ち着いたのち、以前の場所から小宿川対岸に再建しています。再建時から山門がありませんが、門柱石が最近、新しくなりました。武田と真田氏に仕えた鎌原氏によって寺は建立されたて以来、六文銭が寺紋です。碑の文字は曹洞宗トップの総持寺官長による揮毫です。
境内は今(7月中旬)、アジサイが見ごろを迎えていて、私のお気に入りのシーズン。それもみな山紫陽花です。寒いから山紫陽花しか育たないので仕方ありませんが、そこが山寺の風情となっていていいですね。

アジサイと寺は深い関係!?
ところで、どうして何処の寺にもアジサイが多いのでしょうか。常林寺のアジサイをよく見ると寺と縁のあるアジサイの一種が咲いていました。釈迦の生誕を祝ってどこでも「花祭り」がありますよね、その花祭りの時に、生まれた釈迦の像に甘茶をかけるんですが、その「甘茶の木」と言われる紫陽花が境内の片隅に咲いています。釈迦が生まれた時、甘茶の雨が降ったと言われるから寺にアジサイはセットということなんですね。(お寺で教わりました)

アジサイは「集真藍」が「紫陽花」になった?
ところで、アジサイは「紫陽花」と書かれてイメージぴったりですよね。でも、植物を解説する人がよくホントは「集真藍(あずさあい)」と言う字が本当で、今の感じ紫陽花は平安時代に日本で当てた字なのだと解説されることもあります。集真藍とは中国、唐の詩人白楽天が名付けたと言われるのですが、日本に伝わった時に学者が「紫陽花」と訳した歴史が残っているから・・・間違って付けられた、あるいは発音が訛って紫陽花と当てられたと。
でも・・・どうなんでしょうか?
集真藍・・・真の青(藍)を集めた花、という字面に訳者は躊躇したのではないのかと思えるのです。色に繊細な我国の風土にはすでに藍染が普及していましたし、その藍色には数種類の色の名前が付けられていました。さらに青は蒼や藍の漢字表現が多種でしたから、集真藍こそがアオだという表記に戸惑い、訳者は「紫陽花」という日本的な文字をあえて考えて当てはめた、と私は思うのです。

アカシアのホントの名前?
ついでで恐縮ですが、解説でよく「アカシアは今の木はニセアカシアで本当はハリエンジュと言う」などと案内されるのですが、これもどうなんでしょう?
ハリエンジュとは漢字で「針槐」と表記されるようですが、槐という木は「延寿」とも言われて日本では縁起の樹木ですし魔除けにもなりました。神仏とも深い係わりの樹ですから、いわゆるアカシアという外来の樹木、それも繁殖力が強いわりには使い道のない樹木(失礼!)に槐と言う文字が使われることに抵抗があったのではないでしょうか。
アジサイもアカシアも、間違って使われたのではなく、あえてそう使ったのではないのか、と思うこの頃です。

※紫陽花の写真3枚目が「甘茶の木」といわれるアジサイです。
 写真下は現在の常林寺です。