ドロノキに学ぶ

浅間高原、お気に入りの樹木
◆ドロの木は・・・ヤマナラシ!

親しい友人がドッグランのできるコテージやキャンプ場を造っていて、今年は「ドッグ・カフェ」まで開くことになったが、その中心に20mは超す大きなドロの木が6本まとめて立っている。ポプラのようなその木が私のお気に入りだ。昔からドロノキとかドロヤナギと聞いていたが正式にはヤマナラシ(山鳴し)と言うことを後で知った。ところによってはハコヤナギとも呼ばれると言うほど昔は生活に身近な樹木だったが今は誰も関心を寄せない木になった。
この木は材が白いから綺麗な箱材になったし、マッチの材としてももてはやされた。嬬恋村が硫黄鉱山で栄えた時代の貴重な木だったわけだ。この木は春に綿毛をまとい、風に舞って雪のような風情を演じてくれるから風物詩になるところもある。
葉も繁った今頃からは、少しの風にも葉どうしが当たってカサカサ、ザワザワとひときわ大袈裟にざわめくようになる。山を揺らすようだから樹名にもなったと聞く。
何故こんなに葉どうしをぶつけるのかというと、光合成を活発化させるためなのだと解されているが、この葉が秋に落ちると、土中への分解速度が樹木の中で最も早い、つまり堆肥化が早いと言うから農家も使いやすかったのではないか。
また、昔からこの木があると野鼠が少なくなると言うのはこの木の芽や幼葉にはアレロパシー作用(他感作用、遠隔作用)があることがわかってきた。ほかのポプラにはないと言う独特の臭いはバルサン臭でもあると言う。
ヤマナラシには、人に役立つ様々な知恵が詰まっているのだ、と今更ながら感心する。



◆暑くなる前に、赤く熟す
このシーズンに熟する果実は食用されるものが多いが、よくグミと間違えられる実にヤマヒョウタンボク(山瓢箪木)の実がある。この実は毒性があるから気を付けたい木で、嬬恋の山野の所々で見ることがあると思って書いてきましたが、地元でヒョウタングミ(瓢箪茱萸)だと言う木にも極めて近いことが判った。ヒョウタングミは食べられるので、もう少し確認をしてみたい。
もう一つの赤い実は、最近人気のあるニワトコの木。ハリポタで魔法使いの杖として人気上昇中の木。魔法かどうかは知らないが、骨折を治す木として昔は利用された木だから漢字で「折骨木」と書いてニワトコ。 樹名に人の知恵が詰まっている。
変わった花を下げているのはウリノキ(瓜の木)。私のお気に入りの花で嬬恋の深山の樹林下の低木樹。この木の葉が瓜の葉にそっくりだから樹名が冠されているようだ。(撮影7/13)