武田信玄も上州進出の戦勝祈願をした神社

近隣へ歴史散歩・・・新海三社神社へ


正月は例年、軽井沢の旧碓氷峠にある熊野神社を詣でを兼ねて訪れることが多い。今年は雪のない小正月に、佐久市(旧臼田町)と群馬を結ぶ田口峠にある新海三社神社に出かけた。もちろん、佐久地方も諏訪神社系だからお諏訪さまが祀られているが、産土神にはお諏訪さん(建御名方命)の子が祀られていた。

ここは武将の信仰も篤く、源頼朝が源氏の祖神を取沙汰した神社で、のちに甲斐源氏の流れをくむ武田信玄は、1565年上州箕輪城攻略の前にここで戦勝祈願をしている。ここから上州に侵攻した。もとより境内には寺もあったが、明治の廃仏毀釈で寺は近くに分かれ蕃松院として残っている。
しかし、境内には国宝の三重の塔が残された。廃仏毀釈を逃れて唯一現存しているからとても貴重で、知らなければ神社として違和感があるところだ。
この先の田口峠は昔、坂上田村麻呂が奥州征討の帰路、東北の雄アテルイを連れて此処を通って京へ戻った道だと云う。すでに群馬と長野を往来する街道は他に移って今は田舎道ほどになっているが、神社一帯は室町から戦国の時代の名残りをとどめているだけでなく、静かな農村風景が風情を漂わせる気がする。