新築時に「ごち餅」を投げるという風習

「ごち餅」投げたッ!


幼馴染の友人が自宅を新築するので棟上げに参加した。久しぶりの地域での新築。今回は在来工法で地元の業者による建築だから夕方には棟上げ(建前)の上棟式をやって、そして清めのお酒を四方にそそぎ、お餅とお菓子を一緒に投げた。地元では「ごちモチ」と言って縁起物だ。 最近は大手ハウスメーカーの住宅が多くなったからこんな儀式は少なくなってきたが、屋根の上に登ってみていると、建築の安全を願い建物にまつわる自然の神々に感謝するこんな風習も文化遺産行事のようで楽しかった。
でも、こうした光景も住宅事情のせいか最近はめっきり減り、こんな地域の風習に驚く若い人達も目立つようになりました。ところによっては四隅を清めるだけ、という所も多い昨今です。 施主さんが設計士さんと方位方角などを配慮して設計したものを大工職人が天に近い(上棟)簗を載せたことを産土神などに知らせる儀式は施主、設計士、大工さんが三位一体となってこの地に末長く家が繁栄するすることを願う大事な儀式なんですね。
ところで、四隅をお酒で清める、祝いのお餅を投げるという風習は基本的に「神式」ですが、古くは伊勢神宮の正殿の建築に見ることができます。その儀礼は簡単に書くと次のように行われています。
①最初に正殿中心の柱「芯の御柱」を建てる。
御柱新月の午前中に建てるが、この時、女性は参加できない。
③完成時に遷宮祭をおこない、新宮の前で神主さんが鶏の鳴き声を3回発する。
④上棟祝い、棟上から餅を投げる。

という古代からの儀式ですが、驚くことにこの儀礼は中国雲南省の怒族(ぬ-ぞく)の古くからの儀式とそっくりだと言われます。その怒族の儀式には、棟上げしたとき四隅に鶏の血を東北方向から時計回りに撒いて清める儀式があって、これが源流だといわれているのですが、、、、日本の片田舎の棟上げ式にも遠い古代からの風習が伝わり残ったのかもしれません。いつまでも「ごち餅投げ」の風習が残るといいですね。
余談ですが、先日北朝鮮に拉致された蓮池薫さんの講演を聞いたとき、むこうで結婚式を挙げさせられたとき、質素な料理になぜか鶏が出された、という話がありました。漢字文化圏では慶事になぜ鶏を用いるのがあるのか、また疑問ができました。
(一部、記事再掲しています)