地名も文化!

浅間高原にアイヌ語が残っているか?
浅間山麓に住む知人と話していたら、「地名の〈大カイシコ〉とか〈アテロ〉って変な地名だけど、どこの言葉?」と聞かれたので、私は咄嗟にアイヌ語から来ているらしいよ、と答えたがいい加減な返答だったから少し調べ直してみた。
今の浅間高原(旧、南木山に該当)は嬬恋村では鎌原(かんばら)という大字区になるが、小字名に大カイシコやアテロ、タテノ、モロシコ、ロンノトヤ等意味不明な地名がある。 古くから口伝された地名は、一般に文字が日本に浸透してきた8世紀以降に漢字が当てられてきたから、最初に住んでいた人たちの言い方が残ったと言うのが適切かもしれない。 この地方の言葉のいわれを調べた元学習院大学教授でフランス文学者の故・山本直文氏は嬬恋村にも良く訪れて昭和40年に「日本語アイヌ地名考」を出版した。(現在は絶版)  それによるとやはりアイヌ語による呼称が残ったからだと言う。浅間高原は古くから幕府の直轄地であり、それ以前から牧狩りの地で、いわば治外法権の地であった。その一帯に先住した人達の表現が残ったのかもしれないが、馴染みの地名をいくつかを参考にあげてみる。
▲鎌原→アイヌ語のカムイパラは神の原、カンパラは上方の原、カマパラは平たい石の原と言う意味になる。▲アテロ→楡の森の低地の意味。▲立野→タツノは樺の野の意味。 逆にアイヌ語イカポップ(山越の温泉の意味)→伊香保。▲イセ(磯)→伊勢 ▲オタ(砂地)→太田▲ウエノ(木の生えている丘、山)→上野 などとされるが大カイシコの記述は見当たらない。
ところが、大カイシコについて、FBの知人がつい最近、コメントを寄せてくれて、大カイシコとは「獲物を担いで運ぶ場所」という意味のアイヌ語らしいと知らせてくれた。そして〈シコ〉は篠が変じたもので笹の生えた場所という解釈があると言う。詳しく調べてみたいが、うなずけるものであったから追記しておきたい。

〈あさま〉はアイヌ語で火の吹く山、といわれる。(2月6日四阿山中腹にて撮影)