山の女神

樹木を伐採せず、山に感謝する日って? (12/12)
我家の女房は時々古いことを口にする。日中は寒いなりにも陽射しがあったからチョッと管理している山に行こうとする私を見て、「今日は十二さんの日だよ!」と語気を上げて言う。曜日感覚も薄弱な私はあわててカレンダーを見る。なるほど12日。ならばお礼参りしてくると言って結局出かける。
「十二さん」とは、この地方で山の神様、十二山神の事を言い、秋祭りを終えて田畑農業の神は今、山にいるとされるが、この日は山や樹木などに感謝する日なので、木は伐らないのだと教わってきた。祖母はそれを犯すとタタリがあるから日が近づくと毎日口にしていた。十二山神は女神だと聞いて、幼少の私はいつも雪女を想像した。
十二山信仰は、北関東、甲信越の山間部に残っていると言われるが、林業の衰退とともに大分消えてその意味も不明になった気がする。各集落にあった大山祗社(神社)はそうした山の神の神社で、嬬恋村では田代地区(写真)に残っている。