浅間山の「別当寺」真楽寺と水分神社

歴史散歩。 浅間山のふもと、真楽寺を訪ねる


先日、嬬恋村に隣接する御代田町の真楽寺を訪ねてみました。佐久平の中でも最も古い部類に入る名刹ですが、実は見るのは今回初めてです。
浅間山信仰に深く係わり、浅間山の正当な管轄をする〈別当寺〉をめぐって昔、鎌原観音堂近くに在った延命寺(天明浅間山噴火で流出)と争ったこともあるお寺です。その創建は古く、奈良時代まで遡ると云われ、法隆寺よりも20年も古い587年だというのは眉唾ものですが、浅間山の鎮護祈願のために東大寺などと並んで特別な『勅願寺』の扱いをされたお寺ですから一見の価値がある場所です。

この寺社は浅間山信仰の歴史が閉じ込められている場所ですから、ここを抜きに浅間山の信仰は語れないと言っても良いでしょう。浅間山の修験信仰にも深く係わり、また有名な甲賀三郎伝説があって、ここから龍は諏訪湖に飛んだという湧水池は今も豊富な水を湛えていました。
 
実はこの広い敷地内にはもう一つ水分神社(みずわけじんじゃ)が鎮座していて「水配」の水神様がいる、と思ったらなんと、この社の祭神はあの諏訪神社の神と同じ「建御名方命」だというので吃驚です。水神に建御名方命がいるのはここだけ?でしょうか。 後日少し調べましたら、昔、佐久地方に諏訪神社信仰が入り込んだ時の名残りだとありました。嬬恋の神社の大半は諏訪神社なのでこの件はまた後日調べることにしました。
それから、佐久平地方には先般訪れた新海三社神社の三重の塔と同じように、どういう訳か廃仏毀釈を免れて此処にも三重の塔が残されて残存しています。浅間山をふだん見ているだけでは知ることにできない〈山岳への畏れと祈り〉を感じるとても不思議なスポットでした。
※「水分神社」は普通「みくまり神社」と呼ばれますが、ここの場所だけ上記の呼び方です。